働き方改革の中で忘れがちなのが労働安全衛生法の改正」についてである。
こちらも改正が行われているので注意が必要である。
労働安全衛生法の改正のポイントは、産業医の職務が明確に法定されたこと
事業主の安全衛生の管理や時間管理に関する義務がより厳しく定められたことである。
①産業医の職務、産業医が専門的立場から独立性、中立性を持って仕事を行うべき
ことが定められた。
②衛生委員会への報告義務、衛生委員会が設置されている企業は(常時50人以上
雇用している企業)、産業医から安全衛生管理に関する勧告を受けた場合や、産業
医の選任、解任時に、衛生委員会に報告をすることなどが定められた。
③長時間労働者への措置の共有、事業主は、残業時間が80時間超の社員の氏名や
健康診断で不調者がいた際に企業または産業医以外の医師が事後措置として実施
したことを、産業医に共有しなくてはならなくなった。
④医師との面談要件の変更、厳格化、長時間労働者と医師との面談に関して、実施
基準となる時間外労働の長さが100時間超から80時間超に変更された。
⑤時間管理の努力義務、事業主は上記の「医師との面談要件の変更、厳格化」の実施
義務を果たすために、労働時間の状況把握を行わなくてはならない旨が明確に定め
られた。
法改正により、従来定められている安全衛生管理体制が今後、より重視されていくことは間違いないと思われる。
田岡春幸
Haruyuki Taoka
労働問題コンサルタント。。昭和51年、静岡市生まれ。大学卒業後、厚生労働省に入省し最低賃金法の改正、労使問題などに携わる。厚労省退官後は、企業の労務・人事系の顧問を務め,厚生労働省助成金・労働基準監督署立会、ユニオン交渉IPO労務監査、労働法制全般相談など幅広く活動。
2019年10月よりあすなろの顧問に就任。
【主な著書や活動】
「中小企業がユニオンに潰される日」(2016年)(青林堂)
「ユニオンとブラック社員、働き方改革」(2017年10月)(青林堂)
「電通過労死で消えた働きたい権利」(ironna)
「ユニオンについて」(大阪社会保険労務士会・講演会)他
「働き方改革を経営者の視点で読み解く」(2018年4月 ITメディアエグゼクティブ)など。