日本は正規社員と非正規との労働条件の格差が大きい国と言われている。
正規社員の平均賃金は月32万3900円、非正規社員は20万9400円(2018年の賃金
構造基本統計調査)。
非正規の職員・従業員は84万人増加し,2120万人労働人口の約40%占めている。
これは世界的にみても日本は非正規の割合が高い。イギリスでは非正規の割合は
5~10%になっている。
この様な現状を踏まえて、働き方改革で非正規の格差をなくしていく取り組みが
決定された。この一つが同一労働同一賃金という考え方である。
「同一労働同一賃金」とは...
職務内容が同じ労働者に対しては、雇用形態などに関わらず同一の賃金を支払う
べきという考え方で、ドイツやフランスなどのEU諸国や米国などで普及している
考え方である。
EU諸国では、フルタイム社員とパートタイム社員が同じ仕事をしている場合、
1時間あたり同じ賃金を支払う「均等待遇」を「EU指令」によって加盟国に義務
付けている。
これは、人権意識の高いヨーロッパでは、同じ仕事をする人を性別、年齢、人種、
宗教等賃金に差をつけることは差別と捉えられいるからである。
基本的にEUは、「職務」に対する報酬や責務が明確であるので導入しやすいと
いった専門家の声もある。
次回は日本の働き方改革における同一労働同一賃金についてみていきたい。
田岡春幸
Haruyuki Taoka
労働問題コンサルタント。。昭和51年、静岡市生まれ。大学卒業後、厚生労働省に入省し最低賃金法の改正、労使問題などに携わる。厚労省退官後は、企業の労務・人事系の顧問を務め,厚生労働省助成金・労働基準監督署立会、ユニオン交渉IPO労務監査、労働法制全般相談など幅広く活動。
2019年10月よりあすなろの顧問に就任。
【主な著書や活動】
「中小企業がユニオンに潰される日」(2016年)(青林堂)
「ユニオンとブラック社員、働き方改革」(2017年10月)(青林堂)
「電通過労死で消えた働きたい権利」(ironna)
「ユニオンについて」(大阪社会保険労務士会・講演会)他
「働き方改革を経営者の視点で読み解く」(2018年4月 ITメディアエグゼクティブ)など。